小室哲哉の著作権は現在誰のもの?5億円事件の真相と印税の行方
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時計の針を2000年代半ばへ巻き戻すと、この複雑怪奇な権利トラブルの発端が見えてきます。2006年8月、小室氏は自身が手掛けた代表曲を含む806曲の著作権を10億円で買い取らないかという話を持ちかけ、兵庫県内の男性投資家との間で著作権譲渡契約を締結しました。この際、手付金名目で前受けしたのが現金5億円でした。
しかし、捜査当局の調べによって衝撃の実態が暴かれます。譲渡対象とされた806曲のうち、小室氏が単独で自由に処分できる権利はほぼ存在せず、すでにエイベックス・エンタテインメントなどの音楽出版社へ正式に権利が移転していたのです。さらに、譲渡対象の一部楽曲が無断で別の芸能プロダクションへ二重譲渡されていた事実も後に発覚しました。権利を移転できる見込みがないにもかかわらず、権利者であるかのように装って大金を詐取した容疑で、2008年11月に大阪地検特捜部が小室氏を逮捕する事態へと発展しました。
なぜ、時代の寵児と呼ばれた大ヒットメーカーがこのような無謀な取引に手を染めてしまったのか。最大の背景にあったのは、莫大な借金返済の重圧でした。アメリカ・ハワイなどでのスタジオ設立や海外事業展開の失敗による数十億円規模の負債、前妻であるASAMI氏との離婚に伴う莫大な慰謝料・養育費の支払い負担、さらには高級外車や豪邸を維持し続ける過剰な生活コストがキャッシュフローを完全に逼迫させていたのです。毎月の利息返済に追われる極限状態のなかで、「著作権の売却」という禁断のカードに縋り付いてしまったのが真相でした。