バブエルマンデブ海峡で何が?紅海危機の深層と日本経済への影響
バブエルマンデブ海峡で何が?紅海危機の深層と日本経済への影響の真相について、分かりやすい解説を基に徹底解説します。
国際ニュースで連日報じられるものの、地理的な位置関係や名前の由来については正確に把握していない読者も少なくありません。海峡の正確な位置と、それが持つ戦略的意義を整理します。
バブ・エル・マンデブ海峡は、アラビア半島のイエメンと、アフリカの角に位置するジブチおよびエリトリアに挟まれた幅約26kmの狭い海峡です。北西の紅海と南東のアデン湾(インド洋)を接続しており、北上すればスエズ運河を経て地中海、ひいては欧州市場へと抜けることができます。世界地図上では、アジアとヨーロッパを最短距離で結ぶ大回廊の「南側の鍵穴」に該当します。
アラビア語で「バブ・エル・マンデブ(Bab al-Mandab)」とは、「涙の門(Gate of Tears / Gate of Grief)」を意味します。古くから浅瀬やサンゴ礁、急変する潮流、強風が吹き抜ける危険な航路として船乗りに恐れられ、多くの海難事故で命を落とした人々の悲嘆がその名の由来と伝えられています。さらに、対岸のアフリカ大陸からアラビア半島へと渡る奴隷貿易の悲劇的な歴史を投影した呼称とも言われています。航行技術が発達した現在においても、軍事衝突の惨禍によって再びその名の通り「涙の門」としての性格を色濃くしています。
地政学において、通行が阻止されると世界規模の物流や軍事展開が麻痺する要衝を「チョークポイント」と呼びます。バブ・エル・マンデブ海峡は、マラッカ海峡、ホルムズ海峡に次ぐ世界第3位の海上原油輸送量を誇り、世界の海上貿易全体の約10〜12%、石油貿易の約10%がここを通過します。この幅わずか20数キロの水路が遮断されるだけで、グローバル物流は文字通り首を絞められる(チョークされる)状態に陥ります。