国民審査とは?白票は信任?知らなきゃ損する投票ルールと判決の真実

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国民審査が単独で行われず、必ず衆議院議員総選挙と同日に行われることにも制度上の明確な理由があります。憲法第79条第2項は「任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付され」と規定しており、憲法そのものが同日実施を義務付けているためです。仮に単独で実施した場合、莫大な国費(数百億円規模の選挙費用)が余計に発生するだけでなく、投票率が数パーセント台に激減することは目に見えています。主権者の審査機会を最低限保障するための現実的措置といえます。

しかし、この同日実施が長年現場で深刻なトラブルを引き起こしてきました。それが国民審査の期日前投票における「タイムラグ問題」です。かつて衆議院選挙の公示日は投開票日の「12日前」であったのに対し、国民審査の告示日は「7日前」と法律で定められていました。その結果、公示翌日から期日前投票所に足を運んだ有権者が、「衆院選の票は投じられるのに、国民審査の票はまだ投票できない」という事態が頻発したのです。

報道各社の取材データでも、期日前投票の前半に訪れた有権者が国民審査を受けられずに帰宅せざるを得ないケースが全国で数十万件規模に達していたことが記録されています。こうした主権者軽視の運用に対し、国会での法改正を経て国民審査の期日前投票期間は衆院選と揃えられる方向で見直しが進められました。

さらに制度の深層を見る上で外せないのが、裁判官の定年と任期の実態です。裁判所法第50条により、最高裁判所裁判官の定年は一律で「70歳」と規定されています。憲法上は「審査から10年を経過した後の総選挙で再審査を受ける」と定められていますが、実際には最高裁判事に親任されるのは早くても60代前半、多くは65歳前後です。就任から10年が経過する前に70歳の定年を迎えて退官するため、歴代のほとんどの裁判官が生涯でたった一度しか国民審査を受けないという実情があります。一度信任されれば、定年まで国民の審判を仰ぐことなく日本の司法権のトップに君臨し続ける構造だからこそ、一回の投票の重みが増すのです。

池田 達也

池田 達也

マネー&キャリアエディター

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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