100日後に死ぬワニ社会現象の裏側|作者が明かす炎上の真実と現在
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2019年12月12日、何の変哲もないイラストとともに投稿された一編の作品。それがすべての始まりだった。毎日午後7時に更新されるストーリーは、主人公のワニが「自分があと何日で死ぬか」を知らないまま、友人とラーメンを食べ、ゲームをし、好きな相手に片思いをする穏やかな日々を描き続けた。読者は「死」という確定した未来を知りながら、彼の無邪気な日常を見守るという奇妙な構造の中に引き込まれていった。
ヒットの真相は、読者が自発的に参加する「リアルタイムな共同体験」にあった。連載最終日となった100日目には、ハッシュタグが世界トレンド1位を獲得。しかし、最終回の余韻が冷めやらぬわずか数分後、書籍化、グッズ化、さらには映画化といった怒涛の商業展開が発表されたことで、ネット空間の空気は一変する。「余韻に浸らせてくれない」「最初から裏で電通などの仕掛け人が動いていたのではないか」という商業主義への不信感が瞬く間に燃え上がり、作品は激しい炎上に見舞われた。
だが、舞台裏の実態はネットの邪推とは大きく異なっていた。当時のプロジェクトに近しい関係者はこう明かす。「仕掛け人が最初から仕組んだ壮大なマーケティングだったわけではありません。むしろ、連載が進むにつれて急激に膨れ上がった熱量に対し、権利関係やビジネス側の動きが後追い運動のように乱立し、統制が取れないまま一気に表へ出てしまったのが混乱の引き金でした」。爆発的な拡散力にインフラと広報戦略が追いつかなかったことが、ヒットの真相であり最大の誤算だったのだ。