トンネル効果の確率はなぜゼロじゃない?人間が壁をすり抜ける真相を徹底解説
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トンネル効果の確率は単なる概念上の話ではなく、厳密な微分方程式によって数学的に導き出されます。1次元の定常状態におけるシュレーディンガー方程式は次のように表されます。
-\frac{\hbar^2}{2m} \frac{d^2\psi(x)}{dx^2} + V(x)\psi(x) = E\psi(x)
ここで、$\hbar$はプランク定数を$2\pi$で割った換算プランク定数(約$1.05457 \times 10^{-34} \text{ J}\cdot\text{s}$)、$m$は粒子の質量、$V(x)$はポテンシャルエネルギー、$E$は粒子の持つエネルギーです。
高さ$V_0$、厚さ$d$の矩形ポテンシャル障壁($E < V_0$)を考えた場合、障壁内部($0 < x < d$)における波動関数は急速に減衰する解となり、減衰係数 $\kappa$(カッパ)は以下の式で決定されます。
\kappa = \frac{\sqrt{2m(V_0 - E)}}{\hbar}
この減衰係数を用いて、障壁を通り抜ける透過係数(透過確率 $T$)を計算すると、障壁が十分に厚い場合($\kappa d \gg 1$)、近似的に以下の指数関数で表されます。
T \approx 16 \frac{E(V_0 - E)}{V_0^2} \exp(-2\kappa d) = 16 \frac{E(V_0 - E)}{V_0^2} \exp\left( -2d \frac{\sqrt{2m(V_0 - E)}}{\hbar} \right)
また、実際の自然界やデバイス内のように障壁の形状が四角形ではなく滑らかな曲面を描いている場合は、「WKB近似(Wentzel-Kramers-Brillouin近似)」と呼ばれる準古典的解析手法が用いられます。WKB近似における透過確率は、障壁領域 $[x_1, x_2]$ の積分を用いて次のように表されます。
T \approx \exp\left( -2 \int_{x_1}^{x_2} \frac{\sqrt{2m(V(x) - E)}}{\hbar} \, dx \right)
この数式が示している決定的な事実は、「粒子の質量 $m$」「障壁の厚さ $d$」「エネルギー差 $(V_0 - E)$」のいずれかが大きくなると、透過確率は指数関数的(エクスポネンシャル)に急落するという点です。質量が極めて小さい電子($m_e \approx 9.1 \times 10^{-31} \text{ kg}$)であればナノメートルスケールの障壁を容易にすり抜けますが、質量の大きな物体にとっては確率が事実上消失することを意味しています。