クリスマス休戦映画『戦場のアリア』実話の真相と悲劇の結末を徹底検証
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映画『戦場のアリア』が真の名作として評価される最大の理由は、聖夜の奇跡を描くだけで終わらず、クリスマス休戦その後の悲劇と経緯から目を背けなかった点にあります。
前線で敵同士が酒を酌み交わし、写真を撮り合っているという報告が届いた瞬間、イギリス、フランス、ドイツ各軍の司令部は恐慌をきたしました。戦争とは「相手を悪魔化し、殺害を正当化する」ことによって成立する国家事業です。兵士たちが「敵も自分と同じ人間である」と認識してしまえば、もはや引き金を引かせることはできず、軍隊組織そのものが瓦解しかねません。
英軍総司令官のジョン・フレンチ卿は直ちに厳罰を命じる訓令を発出信し、「いかなる非公式な停戦も反逆罪に相当する」と全部隊に通達しました。劇中でも鮮烈に描かれた通り、休戦に参加した部隊には冷酷な報復人事が下されました。
フランス軍部隊は最も危険な激戦地であったヴェルダン方面の最前線へと送り込まれ、休戦を主導したスコットランド軍部隊は解体・再編の憂き目に遭いました。そしてドイツ軍部隊に下された処分は、厳冬のロシアを相手にする東部戦線への懲罰的な転属でした。映画のラストシーン、蒸気機関車の家畜運搬車に詰め込まれたドイツ兵たちが、ハミングでスコットランドの旋律を口ずさみながら東部戦線へと運ばれていく場面は、組織の論理によって押し潰された個人の悲哀を痛切に物語っています。
翌1915年のクリスマスには、上層部によって厳重な警戒体制が敷かれました。聖夜の前後に無人地帯へ歩み寄ろうとする兵士がいれば、自軍の砲兵部隊が前線ごと粉砕するよう命令が下されていたのです。さらに、1915年春のイーペルの戦いでは毒ガス兵器が実戦投入され、戦争の様相は産業的・組織的な大量殺戮へと変貌していきました。人間性が垣間見えた奇跡は、二度と繰り返されることはありませんでした。