チェーンソーのキックバックはなぜ起きる?原因と危険ゾーン・防止対策
チェーンソーのキックバックはなぜ起きる?原因と危険ゾーン・防止対策とはどんな影響があるのか? 背景や要点を簡潔に解説します。
キックバックの発生を100%予知して防ぐことができない以上、万が一発生した際に「致命傷を回避する二重・三重の防護壁」が不可欠です。近年、日本の労働安全基準は国際水準に合わせて大きく刷新されています。
極めて重要な転換点となったのが、林業労働安全衛生規則の改正です。業務としてチェーンソーを使用する作業者に対し、下肢の切創を防ぐ防護チャップス着用義務(または防護ズボンの着用)が義務付けられました。また、業務従事者には関係法令に基づく伐木等特別教育の修了が課せられており、安全衛生教育のカリキュラム内でもキックバック対策と防護装備の正しい運用が徹底指導されています。
チャップス内部には、高強度の特殊繊維(アラミド繊維や高分子ポリエチレンなど)が何層にも編み込まれています。回転するソーチェーンが触れた瞬間、刃が繊維を瞬時に引きずり出し、ドライブスプロケットとクラッチの隙間に大量の繊維が絡みつくことで、1万分の数秒でソーチェーンの回転を物理的に強制停止させます。DIYなどの個人作業には法的な着用義務こそ課されていないものの、命を守るためには必携の装備です。
また、機械側の最重要安全装置がチェーンブレーキ仕組みです。チェーンブレーキには主に2系統の作動トリガーが組み込まれています。
- ハンドガードによる機械的作動:キックバックで本体が跳ね上がった瞬間、フロントハンドルを握っている左手の手首や甲がフロントハンドガードを前方に押し倒し、バンドブレーキがドラムを締め付けてチェーンを停止させる機構。
- 慣性作動式ブレーキ(インナーシャブレーキ):跳ね上がりの激しい加速度(G)を感知し、フロントガードに手が触れなくてもウェイトの慣性力によって自動的にブレーキをロックする先進機構。
どんなに優れたブレーキも、可動部におがくずやチェーンオイルが固着していれば作動しません。作業開始前には、必ず低回転でスロットルを回しながら手動でフロントガードを押し、瞬時にチェーンが停止するか点検する「作動テスト」の実施が命を繋ぐルーティンとなります。