黒革の手帖歴代比較と結末の真相!米倉涼子・武井咲版の決定打
黒革の手帖歴代比較と結末の真相!米倉涼子・武井咲版の決定打にまつわる役立つ知識を分かりやすく発信ます。
松本清張の原作小説『黒革の手帖』と、歴代のテレビドラマシリーズでは、クライマックスから結末に至るプロットに極めて大きな乖離が存在します。この改変こそが、本作が各時代で爆発的な視聴率と評判を獲得した最大の要因でもあります。
原作小説における原口元子の結末は、救いのない完全な破滅です。美容外科医の楢林や予備校理事長の橋田を脅迫し、政界の黒幕である長谷川庄司をも手玉に取って銀座屈指の大型クラブ「ルダン」買収へと突き進んだ元子ですが、長谷川と総会屋の仕掛けた罠により小切手詐欺に嵌められ、一転して全財産を喪失します。さらに、頼みの綱であった衆議院議員秘書の安島富夫からも冷酷に見捨てられ、警察の捜査網と闇社会の追っ手から逃れるため、身重の身体を抱えて偽名で成田空港から海外逃亡を図る途中で出血・流産し、絶望の中で幕を閉じます。清張が描いたのは、弱者が権力機構の巨悪に挑んだ末にすり潰される冷酷な社会の現実でした。
一方、2004年に放送されたテレビ朝日版の米倉涼子主演ドラマでは、ピカレスク・ヒロインとしての美学を前面に押し出した結末が描かれました。銀座のすべてを失い警察に包囲されながらも、元子はパトカーの赤色灯に照らされる中で不敵な笑みを浮かべ、自らの武器である手帖を握りしめます。権力に屈服することなく、何度でも這い上がろうとする「銀座の女王」のプライドを刻みつけたこの演出は、当時の視聴者に鮮烈な衝撃を与えました。
さらに2017年の武井咲版では、最終話で警察に逮捕されるものの、2021年の新春ドラマスペシャル『黒革の手帖~拐帯行~』へと物語が接続されます。刑期を終えた元子が金沢の高級クラブを舞台に再びマネーゲームを繰り広げ、IT企業の社長や地元の有力者を翻弄しながら、自らの足で新たな頂へと歩み出す姿が描かれました。原作の持つ冷徹なリアリズムをベースにしつつも、ドラマ版はいずれも「決して魂までは売り渡さない強い女性の生き様」へと昇華させています。