内山昂輝が演じた『鬼滅の刃』累の衝撃|怪演の理由と演技力を徹底解剖
今注目を集めている 内山昂輝が演じた『鬼滅の刃』累の衝撃|怪演の理由と演技力を徹底解剖について、多角的な視点をご紹介しています。
累が犯した悲劇は、家族社会学や心理学における「機能不全家族」と「心理的バウンダリー(境界線)の完全な崩壊」の構図そのものです。この深い病理を声だけで描き切った点に、内山昂輝氏の卓越した表現力の本質があります。
累は生まれつき体が弱く、走ることすらできませんでした。無惨によって強靭な鬼の体を手に入れたものの、人を喰らわねば生きられない体となり、それに絶望した両親から心中を図られます。親の愛を理解できずに両親を殺害してしまった累は、生涯消えない「愛の飢餓感」を抱え、暴力と恐怖で他者を縛ることでしか家族を再現できなくなりました。
自立した個と個が信頼で結ばれる健康的な関係ではなく、相手を思い通りにコントロールしようとする極端な共依存。内山氏は、累の声を「大人びた冷徹な支配者の響き」と「親を探し彷徨う幼子の弱さ」の二層構造で見事に構築しました。感情を荒らげるのではなく、情緒が抜け落ちた平板な声で喋らせることで、累の内面にある「取り返しのつかない喪失」と「精神の未熟さ」を浮き彫りにしたのです。
悪を単なる記号として演じるのではなく、その奥底にある傷口までをも表現する芝居の深さこそ、内山昂輝という表現者が現代アニメ界で重宝される決定的な理由といえます。