短母指屈筋の二重神経支配と作用の全貌|親指の付け根が痛む根本理由
短母指屈筋の二重神経支配と作用の全貌|親指の付け根が痛む根本理由にまつわる役立つ知識を詳しく紐解きます。
親指の付け根 痛みの真相を紐解くにあたり、現代人の手の使い方を無視することはできません。手の外科を専門とする医師の臨床レポートによると、親指の付け根に痛みを訴えて来院する患者の約4割に、母指球筋群の慢性的なオーバーユース(使いすぎ)が認められます。
筋肉が痛む直接的な理由は、主に以下の3つの力学的ストレスに集約されます。
第一に、片手で大型スマートフォンを持ち、画面の端まで親指を伸ばしてスクロールやタップを繰り返す動作です。このとき、短母指屈筋は過剰に引き伸ばされながらも収縮を強いられる「遠心性収縮」のストレスを受けます。結果として筋線維に微小断裂が生じ、炎症や筋膜の癒着が進行します。
第二に、PC作業におけるマウスクリックやつまみ持ち、日常の荷物運搬による「持続的な等尺性収縮」です。指先を固定したまま力を入れ続けると、筋内圧が上昇して血流が阻害され、酸素欠乏に陥った筋組織内にブラジキニンやプロスタグランジンといった発痛物質が蓄積します。
第三に、短母指屈筋内に形成される「トリガーポイント」の存在です。短母指屈筋の中央部に硬いしこり(筋硬結)ができると、その場所だけでなく、親指の腹や手首の付け根、時には人差し指の付け根あたりにまで放散痛(関連痛)を飛ばします。本人が「骨が痛い」「関節が壊れた」と感じていても、実際はこの小さな筋肉が悲鳴を上げているケースが驚くほど多いのです。