幻覚とは?錯覚との違いや原因疾患・五感のサインと正しい受診法
幻覚とは?錯覚との違いや原因疾患・五感のサインと正しい受診法の詳細について、専門知識を取りまとめてご紹介します。
幻覚が引き起こされる背景には、精神医学的疾患のみならず、身体的要因や過酷な生活環境、医薬品の影響など多様なトリガーが存在します。
1. 精神疾患および神経変性疾患
最も代表的な原因疾患が統合失調症です。脳内のドーパミン伝達過剰により、悪口や批判、指図されるような幻聴が持続します。一方、高齢層で急増しているのがレビー小体型認知症です。脳内の大脳皮質や脳幹にレビー小体と呼ばれる異常タンパク質が蓄積し、初期段階から「そこに人が立っている」「壁に虫が這っている」といった極めて具体的な幻視が現れます。
2. 極度の疲労・睡眠不足・メンタルストレス
疾患を抱えていない健康な人でも、連続徹夜や過度な睡眠障害、強い精神的ストレスによって幻覚を体験することがあります。睡眠と覚醒の境界が曖昧になることで生じる「入眠時幻覚(Hypnagogic hallucination)」「覚醒時幻覚」は、金縛り(睡眠麻痺)とともに発生しやすく、幽霊を見たと錯覚する主原因となります。
3. せん妄と身体的衰弱
認知症と混同されやすい病態に「せん妄」があります。脱水症、重症感染症(肺炎や尿路感染症)、術後の麻酔影響、電解質バランスの乱れなどにより、急激に脳の覚醒水準が低下して生じる意識障害です。日中は比較的落ち着いていても、夕方から夜間にかけて急激に辻褄が合わなくなり、生々しい幻視を訴えて暴れるなどの症状が突然出現します。
4. 医薬品の副作用と相互作用
処方薬の変更や過剰摂取が引き金になるケースも少なくありません。パーキンソン病治療薬(ドパミン作動薬)、ステロイド薬、睡眠薬・抗不安薬の急激な中断(離脱症状)、抗コリン作用を持つ複数薬剤の多剤併用(ポリファーマシー)によって幻覚症状が誘発されることがあります。