もののけ姫「生きろ、そなたは美しい」誕生秘話と宮崎駿・糸井重里の激闘

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スタジオジブリの数々の傑作を彩ってきた糸井重里氏のキャッチコピーですが、『もののけ姫』における制作プロセスは過去のどの作品よりも難航を極めました。1990年代後半、世紀末の閉塞感が漂う中で制作が進められていた本作は、それまでのジブリ作品が持っていた「わかりやすい爽快感」や「牧歌的なファンタジー」とは一線を画す、人間の業と自然の暴力性を真正面から描いた重厚なテーマを内包していたためです。

当時の宮崎駿監督と糸井重里氏のやり取りは、プロデューサーの鈴木敏夫氏が間に入り、FAXを通じて幾度となく言葉を往復させる形で進められました。糸井氏が提案するコピーに対し、宮崎監督は「それではこの映画の持つ毒や業が伝わらない」「映画の重心とずれている」と妥協のないダメ出しを連発。両者の思想が真っ向から衝突し、コピー制作は一時完全に暗礁へと乗り上げました。

鈴木敏夫氏の回想によれば、普段はスマートに言葉を紡ぎ出す糸井氏も、この時ばかりは追い詰められ、夜遅くまで事務所に籠もり頭を抱えていたといいます。映画の持つ巨大なエネルギーをたった一行に圧縮する作業は、映画制作そのものに匹敵する過酷な闘いでした。

阿部 裕樹

阿部 裕樹

エンタメ専門ジャーナリスト

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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