制御性T細胞の謎を解く!ノーベル賞候補の発見とがん治療の真相
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生体の免疫系は、外敵を徹底的に排除する強力な攻撃力を持っています。しかし、その強力な武器が自分自身の正常な細胞に向けられた場合、関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)、1型糖尿病といった破壊的な自己免疫疾患を引き起こします。この自己破壊を防ぐため、免疫反応を適切なタイミングで終息させ、自分自身を攻撃しない「免疫寛容」を維持する役割を一手に担っているのが制御性T細胞です。
細胞生物学的な視点から見ると、制御性T細胞 CD4 CD25発現メカニズムこそが識別の第一歩となりました。ヘルパーT細胞の目印である「CD4」分子とともに、インターロイキン2(IL-2)受容体のα鎖である「CD25」を高発現しているT細胞群が存在し、これが他者の免疫活動を強力に抑え込んでいる事実が突き止められました。さらに2003年、転写因子「Foxp3」が制御性T細胞の発生と機能維持を司るマスター遺伝子であることが判明します。制御性T細胞 Foxp3発現の仕組みが解明されたことで、それまで実体不明とされていた免疫抑制細胞の存在が分子レベルで確定しました。
もし生体内でFoxp3遺伝子に変異が起き、制御性T細胞が正常に機能しなくなると、IPEX症候群と呼ばれる重篤な全身性自己免疫疾患が引き起こされます。生後間もなく全身の臓器が激しい自己免疫攻撃に晒されるこの疾患の存在は、制御性T細胞と自己免疫疾患の関係が生命維持においていかに不可欠であるかを如実に物語っています。私たちの生命は、アクセルを踏む攻撃細胞だけでなく、常に的確にブレーキをかける制御性T細胞の働きによって保たれています。