人類最悪の感染症「天然痘」完全撲滅の真相と現代に残る脅威
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天然痘(Variola virus)の恐ろしさは、極めて過酷な臨床経過と容赦ない破壊力にあります。天然痘の潜伏期間はおよそ7日〜17日間(平均10〜14日)。この無症状の期間を経て、突如として40度前後の急激な高熱、激しい頭痛、腰痛、悪寒、嘔吐といった天然痘の初期症状が発症します。
初期症状から2〜4日ほど経過すると熱が一時的に下がるものの、口腔内や顔面、手足の末端から特徴的な発疹が現れます。この発疹は急速に丘疹(きゅうしん)、水疱(すいほう)、そして膿がたまった膿疱(のうほう)へと悪化し、やがて全身を覆い尽くします。当時の記録や臨床手記には「皮膚の激痛により横たわることすら叶わず、患者の叫び声が病室を満たした」という凄惨な証言が残されています。
重症型の天然痘の致死率は約20%〜40%(平均30%前後)に達し、重篤な出血型や悪性型ではほぼ100%に達することもありました。幸いにして一命を取り留めた場合でも、顔面や全身に「痘痕(あばた)」と呼ばれる深い瘢痕が残り、角膜の病変によって失明する事例も頻発しました。
主な天然痘の感染経路は、感染者の咳やくしゃみによる飛沫感染や、膿疱の浸出液に触れる接触感染です。ウイルスは環境中でも比較的安定しており、患者が使用した衣服や寝具の塵(チリ)を吸い込む飛沫核(空気)感染によっても拡大したため、瞬く間に集落や都市を壊滅へと追い込みました。