没後13年、なぜ今『ハサミ男』が世界中でバズっているのか? 狂気の覆面作家が遺した「人間とミステリ」の鋭利な刺傷
没後13年、なぜ今『ハサミ男』が世界中でバズっているのか? 狂気の覆面作家が遺した「人間とミステリ」の鋭利な刺傷について押さえておきたい ポイントを分かりやすく解説いたします。
殊能将之という作家を語る上で欠かせないのが、彼が生前執筆していたWeb日記『空の瓢箪』の存在だ。そこには、SF、本格ミステリ、海外文学から料理本、ファンタジーに至るまで、驚異的なペースで貪破された書籍の記録が淡々と残されている。
彼の強みは単にプロットが巧妙である点にとどまらない。膨大な知識と教養が、作品のバックボーンとして分厚く横たわっているのだ。新刊本を毒舌混じりに批評しつつ、自らの創作活動の過酷さを静かに呟く日常。そこから浮き彫りになるのは、物語に対して誰よりも誠実であり、同時に極限まで冷徹な批評家としての眼差しを持った一人の人間の姿である。