切って浮かべるだけ?アナカリスを爆殖させる増やし方と枯れる原因
切って浮かべるだけ?アナカリスを爆殖させる増やし方と枯れる原因について重要なポイントを解説いたします。専門家の見解をお届けします。
SNSや大手知恵袋コミュニティ、全国のアクアリウム愛好家フォーラムを調査すると、「アナカリスなんて放っておけば誰でも増える」という言説を鵜呑みにして大失敗した生の声が多数報告されています。現場の飼育記録から見出された「失敗する典型的な落とし穴」を検証します。
最も典型的なトラブル報告が、「購入時の鉛巻きとウールをつけたまま沈めていたら、根元から腐臭を放って溶けた」という事例です。ホームセンター等で販売されているアナカリスは、束ねるためにウレタンスポンジと鉛の帯が巻かれています。これはあくまで輸送・販売用の仮留めに過ぎません。そのまま水槽の底砂に沈めると、ウール内部の通水性が完全にゼロになり、嫌気性バクテリアが繁殖して茎が瞬く間に腐敗します。購入後は直ちに鉛とウールを外し、流水で根元を洗浄してから水槽に放つのが飼育の鉄則です。
また、室内水槽における「照明のスペクトル(波長)不足」も目立ちます。「室内の天井照明がついているから大丈夫だろう」と水草専用ライトを設置しなかった結果、節と節の間が異常に長く伸び、葉が薄い黄色になって弱々しく倒れてしまう「徒長(とちょう)」現象です。アナカリスが活発に光合成を行うためには、光合成有効放射(PAR)領域である赤色光(660nm付近)と青色光(450nm付近)を含む十分な照度(水面で1,000ルクス以上)が必須です。現代の高性能アクアリウムLEDを1日6〜8時間照射するだけで、茎の太さと葉の密度は目に見えて改善します。
さらに見過ごせないのが「農薬の付着によるエビ類の全滅事故」です。一部の安価な輸入アナカリスには、害虫駆除のための残留農薬が付着している場合があります。魚には無害な濃度であっても、水槽内に同居しているミナミヌマエビやヤマトヌマエビ、スネールなどの無脊椎動物にとっては致死的な毒性となります。「エビ水槽に入れた途端、エビが狂ったように泳ぎ回って全滅した」という悲痛な手記は後を絶ちません。安全を期すならば「国産無農薬」と明記された株を選ぶか、市販の水草用農薬除去剤を用いて数回水洗いを繰り返す慎重さが求められます。