猫に引っかかれた傷の放置は危険!感染症リスクと正しい応急処置
猫に引っかかれた傷の放置は危険!感染症リスクと正しい応急処置の特集記事をお届けします。専門的な知識が満載です。
「出血が止まったから大丈夫」と傷口を放置すると、数時間から数週間の潜伏期間を経て重い感染症を発症するリスクがあります。猫由来の細菌感染症は、初期症状が風邪や虫刺されに酷似しているため見落とされやすく、気づいたときには重症化しているケースも珍しくありません。
特に警戒すべき代表的な病態は以下の通りです。
1. 猫ひっかき病(Bartonella henselae感染症)
猫の血を吸ったノミを介して媒介されるバルトネラ菌が原因です。受傷後1〜3週間の潜伏期間を経て、引っかかれた部位に赤い丘疹や水疱、化膿が生じます。最大の特徴は、傷口に近い肘や脇の下、首周りなどのリンパ節の腫れです。リンパ節がウズラの卵大や鶏卵大まで腫れ上がり、圧痛や高熱、全身倦怠感を伴います。重症化すると数カ月以上腫れが引かない場合もあります。
2. パスツレラ症(Pasteurella multocida感染症)
猫の口腔内にほぼ100%、爪にも高確率で常在しているパスツレラ菌による感染症です。潜伏期間が極めて短く、受傷後30分〜数時間(遅くとも24時間以内)に患部が赤く腫れ上がり、激しい激痛が生じます。進行が非常に早く、皮下組織から腱鞘や骨へと炎症が広がり、蜂窩織炎(ほうかしきえん)や骨髄炎、敗血症を引き起こす危険性があります。
3. 破傷風(Clostridium tetani感染症)
土壌中に存在する破傷風菌が、猫の爪に付着して傷口の深部に入り込むことで発症します。潜伏期間は3日〜3週間程度で、初期症状として口が開きにくくなる(開口障害)、首筋の張り、顔面の引きつりなどが現れます。進行すると全身の筋肉が痙攣し、呼吸困難に至る致死率の高い危険な感染症です。過去の破傷風予防接種から10年以上経過している成人や、ワクチンの定期接種世代ではない高齢者は特に注意が必要です。