瞳孔が開くのは好意か危険信号か?片目散大の理由と受診の目安を検証
瞳孔が開くのは好意か危険信号か?片目散大の理由と受診の目安を検証の背景について、分かりやすい解説を取りまとめてご紹介します。
病気以外で瞳孔が拡大する身近な原因として見落とされがちなのが、日常的に使用している医薬品の影響だ。薬の副作用による瞳孔拡大の経緯を辿ると、その多くに「抗コリン作用」が関与している。
抗コリン作用とは、副交感神経の神経伝達物質であるアセチルコリンの働きを阻害する作用を指す。瞳孔を縮小させる筋肉の働きが抑え込まれる結果、相対的に交感神経が勝り、瞳孔が開いた状態が持続する。代表例としては以下の医薬品群が挙げられる。
- 市販の総合感冒薬・鼻炎薬:くしゃみや鼻水を抑える抗ヒスタミン成分(第一世代抗ヒスタミン薬)や抗コリン成分が散瞳を引き起こす。
- 乗り物酔い止め薬:スコポラミン臭化水素酸塩水和物などが自律神経中枢を鎮静させる過程で、散瞳を誘発することがある。
- 精神科・心療内科の処方薬:三環系抗うつ薬や一部の抗不安薬、睡眠導入剤。
- 気管支拡張薬(吸入薬):喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に用いられる抗コリン性吸入薬が、吸入時の漏れなどで直接目に触れた場合、片目だけ散大することがある。
また、眼科診療の現場で意図的に瞳孔を開かせる処置として眼科での散瞳薬と眼底検査がある。眼球の奥にある網膜や視神経乳頭を広範囲かつ精密に観察するため、トロピカミドや塩酸フェニレフリンを主成分とする目薬を点眼し、瞳孔を強制的に開かせる。
この検査を受けた場合、薬効の持続時間には個人差があるものの、通常は4時間から6時間程度で自然に元へ戻り始める。しかし、代謝速度の遅い人や高齢者では、翌日まで散瞳やまぶしさ、ピントの合いにくさが残ることも珍しくない。
問題となるのは、瞳孔が開いたまま戻らない時の受診目安だ。眼科検査から丸一日(24時間)が経過しても元のサイズに戻らない場合、あるいは市販薬を服用した後に異常な眼痛やかすみ目が出現した場合は、潜在的な狭隅角を誘発して眼圧が上がっているリスクがある。速やかに点眼を受けた眼科、または近隣の専門医へ連絡を入れるべきシチュエーションといえる。