マズローの欲求5段階説を完全解説!幻の6段階目と現場の実践知
マズローの欲求5段階説を完全解説!幻の6段階目と現場の実践知にまつわる最新トピックを詳しく紐解きます。
ビジネス書などで一般に流通しているマズローの学説は5段階で完結していますが、実のところ、マズロー自身は晩年に決定的な「修正」を加えていました。それが幻の6段階目 自己超越(Self-Transcendence)の存在です。
必読記事
1960年代末、心臓発作を経験し自身の死期を悟りつつあったマズローは、日米の経営学者ダグラス・マクレガーの「X理論・Y理論」をさらに押し広げた「Z理論」の草稿や、自身の膨大なジャーナル(日記)の中で、自己実現のその先にある境地を執拗に探究していました。1969年に発表された論文『人間性の心理学を超えて』などにおいて、彼は欲求ピラミッドの最上層に「自己超越」を位置づけ直しています。
自己超越とは、「自己」というエゴの境界線が溶解し、自分以外の他者、社会、自然、あるいは人類全体の幸福のために自発的に行動する心理状態を指します。自分の欲求を満たすために努力するのではなく、大いなる目的やコミュニティの繁栄に対して「自分自身を捧げている」という感覚です。マズローの観察によれば、この段階に到達した人間は「至高体験(Peak-experience)」を日常的に味わい、見返りを求めない利他的な献身を極めて自然に行うとされています。
この第6段階は、マズローが1970年に62歳で急逝したこともあり、入門書などからは割愛されがちでした。しかし、パーパス経営やESG、ソーシャルインパクトが企業の存続を左右する時代において、自分個人の成功を超えて社会の課題解決に挑む起業家やリーダーの精神構造は、まさにマズローが予見した「自己超越」の領域に合致しています。