台湾の性風俗と売春の歴史|公娼廃止から現在続く法制度の歪みまで
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現在、台湾の性産業を縛っているのが「社会秩序維護法」です。かつての同法第80条は「売春側(女性)のみを罰し、買春側(男性)を罰しない」という不平等な規定(罰娼不罰嫖)となっていました。しかし、2009年に司法院大法官(憲法裁判所)がこの規定を「法の下の平等に反し違憲」と判断したことで、法改正を余儀なくされます。
これを受けて2011年に成立した改正法では、地方自治体が指定する「性交易特区(性風俗特区)」内での営業・取引のみを合法とし、特区外での売買春については売り手と買い手の双方に最大3万台湾元(約14万円)の罰金を科す(罰娼又罰嫖)という妥協案が採択されました。
ところが、この法改正には致命的な欠陥がありました。特区の設置権限を委ねられた地方自治体が、住民の猛反発や教育環境への懸念、いわゆるNIMBY(施設受け入れ拒絶)問題を恐れ、現在に至るまで特区を全国で1箇所も指定していないのです。法的には「特区内なら合法」と謳いながら、実際には特区が存在しないため、台湾全域で実質的にすべての性取引が違法として扱われるという歪んだ構造が固定化しています。