帝王切開の傷跡が盛り上がる理由と消える時期|2026年最新ケア
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術後しばらく経過してから生じる傷跡の硬さや盛り上がりに直面すると、「術後の縫合に失敗したのではないか」と疑念を抱く方がいます。しかし、形成外科専門医や周産期医療の現場取材によると、傷跡が赤く盛り上がる最大の原因は、傷口が治癒する過程でコラーゲン線維が過剰に産生される生体防御反応にあります。
皮膚が切開されると、真皮層の線維芽細胞が急速に増殖して組織を修復しようとします。このとき、立ったり座ったり、抱っこや授乳などで腹壁に強い伸展刺激(引っ張る力)が加わり続けると、身体は「まだ傷が開きそうだ」と判断し、毛細血管を拡張させて大量のコラーゲンを送り込みます。この過剰な修復組織の塊こそが、赤みを帯びた硬い盛り上がりの正体です。
痛みの原因は、急激に増殖した新生血管に伴って未熟な痛覚神経が新生されることや、患部周辺に微小な炎症が燻り続けている点にあります。かゆみについても、炎症細胞であるマスト細胞から放出されるヒスタミンが神経を刺激することで誘発されます。
では、この傷跡はいつ消えるのかという問いに対して、客観的な臨床経過を見る限り「完全に消失して元の無傷の皮膚に戻る」ことはありません。成熟瘢痕と呼ばれる状態へ移行し、赤みが引いて白く平らな線に落ち着くまでには、一般的に術後6ヶ月から1年半ほどの期間を要します。時間の経過とともに組織の再構築(リモデリング)が進むことで、多くのケースで痛みやかゆみは徐々に沈静化していきます。