難消化性デキストリンに発がん性?危険の噂とトクホの安全性を徹底検証

難消化性デキストリンに発がん性?危険の噂とトクホの安全性を徹底検証について押さえておきたい ポイントを分かりやすく解説いたします。

「トクホ飲料を毎日飲み続けるとガンになる」という不気味な言説は、一体どこから湧き出たのでしょうか。取材とデータ分析を進めると、この疑惑の正体は単一の事実ではなく、3つの異なる要素がネット上で無秩序に結びついた「情報の伝言ゲーム」であることが浮き彫りになってきました。

第1の要因は、トクホの炭酸飲料やゼロカロリー飲料によく併用される「高甘味度人工甘味料との混同」です。2023年、WHO傘下の国際がん研究機関(IARC)が人工甘味料アスパルテームを「発がん性の可能性がある物質(グループ2B)」に分類した際、メディアは大々的に「トクホ飲料やゼロカロリー製品の危険性」を報じました。この報道に触れた多くの消費者が、製品ラベルに並んで表記されている「難消化性デキストリン」と「人工甘味料」をひとまとめにして、「トクホに入っているあの成分には発がん性がある」と記憶を上書きしてしまったのです。

第2の要因は、2018年以降に学術誌『Cell』等で発表された「水溶性食物繊維と肝がんに関する動物実験」の過剰解釈です。この研究は、特定の腸内細菌を持ち、先天的に免疫異常を抱える特殊なマウスに対し、高濃度のイヌリンなどの水溶性食物繊維を長期投与したところ肝細胞がんの発症が観察された、という極めて限定的な条件下の報告でした。しかし、これがWEBニュースやSNSで切り取られる過程で「食物繊維でがん発生」「トクホのデキストリンは肝臓に最悪」といった扇情的な見出しへと変貌し、一人歩きを始めた経緯があります。

第3の要因は、日本社会に根強く存在する「カタカナ名の加工成分=ケミカルで危険」という無意識のバイアス(化学物質恐怖症)です。大手食品メーカーの解説にもある通り、難消化性デキストリンはトウモロコシ等のでん粉から作られた安全な水溶性食物繊維ですが、名前の響きだけで「工業的に合成された危険な添加物」と誤解されやすい土壌がありました。

加藤 愛美

加藤 愛美

エンタメ専門ジャーナリスト

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。

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