なぜ欧州は高緯度でも暖かい?西岸海洋性気候の謎と農業を徹底解剖
なぜ欧州は高緯度でも暖かい?西岸海洋性気候の謎と農業を徹底解剖とはどんな影響があるのか? 背景や要点を整理してお届けします。
ユーラシア大陸の東端に位置する日本列島は、モンスーン(季節風)の影響を直接受けるため、本州以南の大部分が「温暖湿潤気候(Cfa)」、北海道の大部分が「亜寒帯湿潤気候(Dfa/Dfb)」に分類されます。そのため「島国である日本には西岸海洋性気候は存在しない」と短絡的に思い込んでいる受験生や一般読者は少なくありません。
しかし、ケッペンの厳密な気温・降水量基準を個別の気象観測点に当てはめると、日本国内にも局所的な西岸海洋性気候(Cfb)の条件を満たす地点が実在します。
代表的なエリアが、北海道南西部の沿岸部(浦河、江差、函館の一部など)や、東北地方北部の太平洋側沿岸部、さらには本州の冷涼な高原地帯(軽井沢や阿蘇山麓の一部など)です。
これらの地点では、海洋の温度調節効果によって冬の最寒月平均気温がギリギリ−3℃を上回り(温帯Cの要件クリア)、同時に夏の最暖月平均気温が親潮(寒流)やオホーツク海高気圧から吹き込む冷涼なやませ、あるいは標高の影響によって22℃未満にとどまります(bの要件クリア)。降水量は年中保たれるため、結果として計算上「Cfb」の判定を受けるのです。
大陸西岸の大規模な気象システムとは成因が異なるものの、局地的な地形と海流の相互作用によって極東の島国にもCfbのポケットが生まれるという事実は、自然環境の多様性を示す格好の好例といえます。