Esblの感染経路は空気感染か?家庭や介護現場のリスクと対策の真相

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現場を混乱させる最大の要因は、「保菌(コロナイゼーション)」と「感染発症(インフェクション)」の混同にあります。特別養護老人ホームに勤務する主任看護師は、当時の緊迫した状況を手記で次のように振り返っています。

「入所者様の尿からESBLが検出された際、介護職員の間で『すぐに個室へ隔離して面会も食事も別にするべきだ』とパニックが起きました。しかし、ご本人は熱もなく元気に食事を召し上がっていたのです。医師から『単なる保菌だから過剰な隔離は虐待に等しい』と指摘され、知識不足がもたらす偏見の恐ろしさを痛感しました」

便や尿の中に菌が存在していても、体が菌に負けずに共存しており、何の自覚症状もない状態を「保菌」と呼びます。健常者の腸内にも一定割合で存在しており、厚生労働省の院内感染対策サーベイランス(JANIS)の推移を追跡しても、健康な一般市民の腸管内保菌率は約5%〜15%程度に達していると推定されています。つまり、社会の中で特別に珍しい現象ではありません。

問題となる「感染発症」は、本人の免疫力が著しく低下した場合や、尿道カテーテル留置、外科手術の創部などから菌が血管や組織深部に入り込んだ際に起こります。代表的なものがESBLによる尿路感染症です。38度以上の発熱、悪寒、排尿痛、混濁尿、血尿、側腹部痛といった症状が現れて初めて「病気」としての治療対象となります。

潜伏期間についても誤解が散見されます。病原性ウイルスのような「感染後〇日で必ず発症する」という定型的な潜伏期間は存在しません。数週間から数カ月にわたり無症状のまま保菌し続け、体調の急変や免疫低下を契機に突如として感染症を発症するケースが大半を占めるためです。

田中 結衣

田中 結衣

デジタルマーケティングコンサルタント

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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