「巨人の肩の上に立つ」とは誰の言葉?ニュートン美談と皮肉の真相
「巨人の肩の上に立つ」とは誰の言葉?ニュートン美談と皮肉の真相とはどんな影響があるのか? 背景や要点を整理してお届けします。
巨人の肩の上に立つの由来を調べると、多くの人がアイザック・ニュートン自身が編み出したオリジナルフレーズだと錯覚しがちです。しかし、記録に残る最も古い起源は、12世紀のフランスにあるシャルトル司教座聖堂学校の哲学者、ベルナール・ド・シャルトルにまで遡ります。
イングランドの聖職者ジョン・オブ・ソールズベリーが1159年に著した思想書『メタロギコン(Metalogicon)』の第3巻第4章には、ベルナールの教えとして以下の有名な言明が記されています。
「われわれは巨人の肩の上に乗る小人のようなものだ。われわれが彼らよりも多くのこと、より遠くのことを見通せるのは、われわれ自身の視力が鋭いからでも、身体が優れているからでもない。ひとえに彼らの巨大な体躯によって高く引き上げられているからなのだ」
ベルナールが生きた12世紀ルネサンスの時代、知識人たちはアリストテレスやプラトンをはじめとする古代ギリシャ・ローマの古典的巨人に圧倒されていました。「古代の知者たちに比して、現代人はなんと矮小なのか」という劣等感と戦うなかで、古代の知を吸収し足場とすることでのみ前進できるという勇気を与えたのがこのメタファーでした。ニュートンは、当時ラテン語知識層の間で格言として定着していたこの言説を自らの書簡で再利用したにすぎません。