スト缶の度数はなぜ9%から激減?販売縮小の真相と純アルコール量の罠

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街の酒販店やスーパーの棚から高濃度缶が姿を消している直接の契機となったのが、厚生労働省飲酒ガイドライン(健康に配慮した飲酒に関するガイドライン)の正式策定と、それに呼応した大手酒類メーカーの経営判断です。

2024年2月、厚生労働省は従来の「日本酒〇合」といった曖昧な換算から脱却し、酒に含まれる「純アルコール量(グラム)」に着目した明確な基準を打ち出しました。この中で、大腸がんや脳卒中、高血圧などの生活習慣病を高める飲酒量として「1日あたりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上」という厳格な数値が提示されたのです。

これを受け、業界に激震を走らせたのがアサヒビールストロング系撤退の決断でした。同社はアルコール度数8%以上の缶チューハイについて、既存商品の段階的削減と新商品開発からの撤退をいち早く表明。サッポロビールも同様に高アルコールRTDの縮小へと舵を切りました。企業としての社会的責任(ESG投資への配慮)や国際的な健康基準への同調が求められるなか、過度な酩酊を誘発する商品を主力に据え続けることは、ブランド価値の毀損に直結するという経営判断が働いた結果です。

サントリーは看板ブランドである「ストロングゼロ度数」9%の展開を一部維持しつつも、パッケージに純アルコール量を分かりやすくミリグラム単位で記載する対応を取りました。メーカー主導の熾烈な度数競争は完全に終焉を迎え、市場全体が「緩やかな引き潮」を迎えたのがスト缶販売縮小の真相です。

前田 葵

前田 葵

サステナビリティ研究家

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。

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