人民の人民による人民のための政治とは?リンカーン演説の真意と真相

人民の人民による人民のための政治とは?リンカーン演説の真意と真相に関する基本知識をわかりやすくまとめました。詳細を読もうことができます。

歴史的な名文句として名高いこのフレーズですが、文献学・政治思想史の研究においては「リンカーンがゼロから生み出した完全な独創ではない」という事実が明らかになっています。

この三位一体の統治概念の源流は、遡ること14世紀、イギリスの宗教改革先駆者ジョン・ウィクリフ(John Wycliffe)が1384年に完成させた英語訳聖書の序文に見出せます。そこには次のような記述が存在します。

「This Bible is for the Government of the People, by the People, and for the People.(この聖書は、人民の、人民による、人民のための統治のためのものである)」

さらに直接的な影響を与えたのは、リンカーンと同時代を生きた奴隷制度廃止運動家でありユニテリアン派の牧師セオドア・パーカー(Theodore Parker)です。パーカーは1850年の演説において、「すべての人民による、すべての人民の、すべての人民のための政治(a government of all the people, by all the people, for all the people)」という表現を繰り返し用いていました。

リンカーンの法律事務所の共同経営者であったウィリアム・ハーンドン(William Herndon)の手記によると、ハーンドンはボストンで入手したパーカー牧師の説教集をスプリングフィールドの事務所に持ち帰り、リンカーンは演説の草稿を練る際、パーカーのパンフレットの該当部分に鉛筆で熱心に下線を引いていたと証言しています。

先人の言葉を咀嚼し、「all」を取り払ってリズムを研ぎ澄まし、国家分裂の極限局面で放つことによって、リンカーンはこのフレーズを世界標準の政治哲学へと昇華させた立役者となりました。

佐藤 大輔

佐藤 大輔

シニアコンテンツプロデューサー

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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