反対給付とは何か?対価との決定的な違いや具体例を法律のプロが徹底解説
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双務契約において、相手方が自らの給付を行わないにもかかわらず、こちら側にだけ一方的に反対給付を迫ってきたらどう対抗すべきでしょうか。この不公正を封じるために民法が用意している最大の防壁が、民法533条に規定される「同時履行の抗弁権」です。
条文の骨子は明快です。双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務を履行する(または履行の提供をする)までは、自らの債務の履行を拒むことができます。この正当な権利行使を「履行拒絶権」と呼びます。
「お金を払ってくれないなら、商品は渡さない」「商品を届けてくれないなら、代金の振り込みを止める」という態度は、単なるわがままや意地悪ではなく、法律が認めた確固たる抗弁権です。これを行使している間は、自己の義務を果たしていなくても債務不履行(履行遅滞)の責任を問われません。遅延損害金を支払う義務も発生しないのです。
さらに、取引途中で発生するアクシデントと反対給付の関係を定めたルールが「危険負担(民法536条)」です。2020年4月施行の改正民法により、実務運用は大きく刷新されました。
たとえば、中古車を300万円で購入する契約を結んだ直後、引き渡し前の保管中に隣家の火災による類焼で車が全焼したとします。売主にも買主にも過失はありません。このとき、車を引き渡すという給付は物理的に不可能になります(履行不能)。旧民法下では「買主は代金を支払わなければならないのか」を巡って解釈が分かれていましたが、現行民法では買主側に対して「反対給付(300万円の支払い)の履行を拒絶する権利」が明確に付与されています。目的物が消滅した以上、買い手は見返りの支払いを堂々と拒絶できるのです。