ミュージアムとは何か?国際定義の激変と博物館・美術館の決定打
ミュージアムとは何か?国際定義の激変と博物館・美術館の決定打とはどのようなものなのか? 詳しい意味を丁寧に紐解いて紹介します。
国際的に「what is museum」を定義する最高峰の機関が、ユネスコと協力関係にあるICOM(国際博物館会議)です。半世紀近くにわたり小規模な微修正にとどまっていた公式定義は、激しい議論の末に抜本的な刷新が行われました。かつての定義が「有形・無形の遺産を収集、保存、研究、伝達、展示する非営利施設」という機能中心の記述だったのに対し、現在の定義には「アクセシビリティ」「インクルーシブ(包摂性)」「多様性」「サステナビリティ(持続可能性)」「コミュニティの参加」といった文言が明確に盛り込まれました。
この変化の背景には、従来の西洋中心主義や権威主義的な施設運営に対する強烈な反省があります。かつての博物館は「権力者や学者が価値を決めた宝物を見せる場所」になりがちでした。しかし、これからのミュージアムは市民と共に記憶を紡ぎ、気候変動や格差是正といった地球規模の課題に対話の場を提供する「アクティブな広場」であることが義務付けられたのです。
英語表現における「what is museum」を掘り下げると、語源である古代ギリシャの学術施設「ムセイオン(Mouseion:学芸と芸術を司るミューズ・ムーサ神の神殿)」に立ち返る動きでもあります。知の殿堂であると同時に、多様な市民が知的好奇心を刺激し合い、心身を癒やす空間としての原点回帰が、世界共通の新たなコンセンサスとなっています。