シャトーブリアンとは?0.1%の最高峰ヒレが高額な理由と極上焼き方
シャトーブリアンとは?0.1%の最高峰ヒレが高額な理由と極上焼き方とは一体何なのか? 専門的な分析を丁寧に紐解いて紹介します。
そもそも、なぜ一頭の牛の特定部位にこのような雅やかな固有名詞が冠されているのでしょうか。その歴史は19世紀初頭のフランス復古王政期にまで遡ります。
このシャトーブリアンの名前の由来となった人物こそ、フランスの著名な文豪であり、政治家や外交官としても名を馳せたフランソワ=ルネ・ド・シャトーブリアン子爵(1768–1848)です。彼はロマン主義文学の先駆者として知られる一方、当時きっての美食家(グルマン)としても名を馳せていました。
美食史の記録によると、シャトーブリアン子爵に仕えていた専属料理長モンミレイユ(Montmireil)が、主人のために考案した特別な調理法が発端とされています。当時の調理法は現代とは異なり、芯の最高級ヒレ肉を両側から2枚の粗悪なランプ肉や脂身で挟み込んで強火で焼き、外側の肉が真っ黒に焦げて中身が蒸し焼き状態になった段階で外側を捨て、中心の極上肉だけを取り出して子爵に提供するという、貴族階級ならではの贅の極みでした。
この調理法、あるいは子爵が外交の宴席でこのヒレの芯ばかりを偏愛して振る舞ったエピソードから、いつしかヒレの中心部そのものが「シャトーブリアン」と呼ばれるようになったと伝えられています。一説には、子爵の生まれ故郷であるブルターニュ地方の町シャトーブリアン(Châteaubriant)の上質な放牧牛を指していたという説も存在しますが、いずれにしても貴族社会の美意識と料理人の執念が生んだ歴史的な遺産であることは間違いありません。