なぜ人を殺してはいけないのか?法学・哲学・脳科学が導く決定的な理由

なぜ人を殺してはいけないのか?法学・哲学・脳科学が導く決定的な理由について押さえておきたい 理由を厳選して解説いたします。

「命はかけがえのないものだから人を殺してはいけない」という説明は、道徳教育の現場で最も頻繁に用いられる常套句です。しかし、批評家の小浜逸郎氏が著書『なぜ人を殺してはいけないのか』などの論考で鋭く問い直したように、「生命の尊厳」を唯一の絶対根拠に据える論法は、論理的な追及に対して極めて脆弱な側面を持っています。

現実に目を向ければ、国家は自衛戦争において敵兵の殺害を合法とし、法治国家の枠組みにおいても刑法第199条の対極として死刑制度を維持しています。もし「いかなる理由があっても命そのものが絶対不可侵である」と規定してしまうと、戦争時の戦闘行為や正当防衛、さらには緊急避難による生命侵害との論理的整合性が取れなくなってしまいます。相手が「自分の命はどうでもいいから、あいつを殺したい」とうそぶく nihilist(虚無主義者)であった場合、情緒的な命の尊さアピールは完全に無力化します。

この難問を解く鍵は、生命を「神聖な宝物」として崇めることではなく、「人間が社会という集団の中で理不尽に殺されずに生き延びるための合理的合意」として捉え直す点にあります。人を殺してはならない理由は、神や天が定めた神秘的な掟ではなく、生身の人間たちが泥沼の殺戮を回避するために編み出した「究極の現実的防衛システム」なのです。

石川 優花

石川 優花

インテリア&ライフスタイルコーディネーター

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。

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