外患誘致罪とは?日本唯一「死刑のみ」の理由と構成要件を徹底解説
外患誘致罪とは?日本唯一「死刑のみ」の理由と構成要件を徹底解説の詳細について、専門知識を基に徹底解説します。
1907年(明治40年)の現行刑法制定から現在に至るまで、外患誘致罪で起訴されたり、裁判で有罪判決が下されたりした事例は一度も存在しない。これは日本の近代法制史において一貫した事実である。
この点に関連して最も検証される歴史的事件が、第二次世界大戦直前の1941年に発覚した「ゾルゲ事件」である。ソ連軍参謀本部情報局のスパイであったリヒャルト・ゾルゲと、近衛内閣の嘱託を務めていたジャーナリスト・尾崎秀実らは、日本の最高機密情報をソ連側に提供し続けた。この事件は日本中を震撼させ、首謀者2名には死刑判決が下された。
しかし、この裁判で適用された法律は「国防保安法」「軍機保護法」「治安維持法」等であり、外患誘致罪や外患援助罪ではない。当時、日ソ中立条約が存在しておりソ連は日本に対して武力を行使していなかったため、「武力行使の誘致」という構成要件を満たさなかったからである。国家中枢の機密を敵対的超大国に流し続けた前代未聞のスパイ事件ですら、刑法81条の適用対象外であったという事実は、本罪の成立ハードルがいかに高いかを明確に示している。