疎水性相互作用は引力ではない?水と油が集まるエントロピーの真相
疎水性相互作用は引力ではない?水と油が集まるエントロピーの真相に関する疑問や疑問点を初心者にも親しみやすくまとめました。詳細を読もうことができます。
疎水性相互作用には、通常の化学結合とは正反対の際立った特徴があります。それが「低温よりも中温・高温域で相互作用が強くなる」という特異な温度依存性です。
一般的な化学結合やファンデルワールス力は、熱運動が激しくなる高温ほど結合が揺らいで弱まります。しかし、疎水性相互作用の推進力はギブズエネルギーの「$-T\Delta S$」項です。温度 $T$(絶対温度)が上昇すると、エントロピー項の寄与が掛け算で大きくなるため、約60℃付近までは温度が上がるほど油同士を凝集させようとする熱力学的圧力が高まります。
日本熱測定学会などの物理化学データが示す通り、水は「4℃で密度最大」という極めて変則的な性質を持ち、水素結合ネットワークが温度変化に対して特異な応答を示します。卵を加熱すると白身(アルブミンなど)が白く固まる「熱変性」も、単に熱で分子が壊れるだけではありません。加熱によってタンパク質内部の結合がほどけた際、露わになった疎水性アミノ酸同士が、温度上昇によって強まった疎水性相互作用の力で互いに無秩序に絡み合い、巨大な不溶性凝集体を形成するために起こります。