窒素・リン酸・カリの黄金比とは?失敗しない肥料の選び方と施肥設計
窒素・リン酸・カリの黄金比とは?失敗しない肥料の選び方と施肥設計について詳しく解説いたします。専門家の見解をお届けします。
「葉が黄色くなる(クロロシス)」というシグナル一つをとっても、どの部位から変色が始まっているかによって、植物が訴えている栄養失調の内容は180度異なります。これを見誤って見当違いの肥料を投与すれば、事態は泥沼化します。
判断の決定打となるのが、植物体内における「養分の体内移動性(転流性)」の違いです。
窒素、カリウム、マグネシウムは、体積の大きな体内を自由に移動できる「移動性の高い元素」です。土壌中の供給が途絶えると、植物は生命維持のために、古い葉(下葉)を分解して回収した養分を、未来を担う新しい生長点(新芽・頂部)へ強制転流させます。したがって、「古い下の葉から黄色くなり、上の新芽は青々としている」場合は、窒素や苦土の欠乏を示唆しています。この段階であれば、薄い液体肥料の追肥によって速やかにリカバリーが可能です。
対照的に、カルシウム、鉄、ホウ素などの微量要素は「移動性の極めて低い元素」です。一度古い組織に固定されると、新芽へ再分配することができません。そのため、「新芽の先端が黄色く縮れる、葉脈の間だけが脱色して白っぽくなる」場合は、微量要素の欠乏や、過剰施肥による根の呼吸停止が疑われます。このケースで窒素肥料を慌てて投入すると、塩類濃度がさらに跳ね上がり、トドメを刺す結果となります。