オーバーブッキングとは?故意に定員超過する理由と高額補償の真相
オーバーブッキングとは?故意に定員超過する理由と高額補償の真相についての最新情報をご紹介します。
インターネット上の掲示板やSNSでは、「予約を確定させてお金を払ったのに断られるのは詐欺罪ではないのか」「民法上の契約違反(債務不履行)で訴訟を起こせるのではないか」といった厳しい意見が散見されます。しかし、法的な実態と約款の構造を精査すると、法的に直ちに違法とはみなされない仕組みが存在します。
航空運送約款と宿泊約款に明記された「例外規定」
航空券の購入時やホテルの予約完了画面で利用者が同意している「運送約款」や「宿泊約款」には、不可抗力や事業運営上のやむを得ない事情による座席・客室変更に関する条項が必ず盛り込まれています。日本の国土交通省も航空各社が過剰予約を行うことを前提として監督指針やガイドラインを定めており、制度そのものが公的に容認されています。
刑法上の詐欺罪が成立するためには「最初から乗せる意思がないのに騙して金を奪う意図」が必要ですが、事業者はノーショーの予測に基づいて定員内に収まると信じて販売しているため、刑事罰の対象にはなりません。民事上も、事業者が代替便の手配や協力金の交付といった所定の約款上の義務を履行している限り、不法行為責任を問うことは極めて困難です。
指名された場合、乗客は搭乗拒否を拒否できるのか?
最も関心が高い疑問が「もしボランティアが集まらず、自分が降りるよう指名されたら拒否できるのか」という点です。結論から言えば、「原則として毅然と拒否して構わない」というのが日本の現場運用における実態です。
かつて2017年に米国ユナイテッド航空で発生した、搭乗済みの乗客を保安要員が強引に引きずり下ろして大怪我を負わせた衝撃的な事件(インボランタリー・デンイド・ボーディング=非自発的搭乗拒否の暴走)は、全世界に強い教訓を残しました。この事件以降、世界中の航空会社で「乗客を強制的に排除する」運用は極端に忌避されるようになっています。
日本の航空会社においては、ボランティアが集まらない場合、協力金の増額や後続便のアップグレード(普通席からプレミアムクラスやファーストクラスへの変更)を段階的に提示しながら合意形成を図るのが通例です。運送約款上は航空会社側に搭乗を断る最終権限が形式上残されているものの、結婚式や危篤、重要商談などを抱えている乗客に対して現場係員が無理やり搭乗を拒むケースは実務上ほぼ皆無です。「重要な仕事があり絶対にこの便でなければならない」と明確に意思表示を行えば、別の融通が利く乗客へと交渉がシフトします。