茅場町の名店「砥喜和」へ。職人技が宿る十割蕎麦と出汁の全貌
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手挽きの石臼で丁寧に挽かれた粉を使い、つなぎを一切使わずに打つ十割蕎麦。切れやすく扱いが極めて難しい十割の生地を、滑らかで喉越しの良い細切りに仕上げる手腕は圧巻だ。砥喜和 料理長の手元を覗くと、粉の温度やその日の湿度を指先の感覚だけで測り、加水量をミリ単位で調節していることがわかる。江戸前蕎麦の粋を継承しながらも、決して古典の焼き直しにはとどまらない。
圧巻なのは、その十割蕎麦を迎え撃つ「つゆ」の存在だ。本枯節と宗田節、鯖節を絶妙な比率でブレンドし、低温でじっくりとうま味を抽出した門外不出の出汁。そこに寝かせた本返しが合わさる。醤油の角が取れ、まろやかでありながら凛とした輪郭を持つつゆに蕎麦を三分の一だけ浸し、一気に手繰る。噛むほどに広がる蕎麦の甘みと、鼻へ抜ける出汁の圧倒的な芳香。舌先に残る余韻の長さに、思わず息をのむ。