熊が絶滅したら生態系はどう激変する?九州の悲劇と四国危機の真相

熊が絶滅したら生態系はどう激変する?九州の悲劇と四国危機の真相とはどんな影響があるのか? 詳しい意味を丁寧に紐解いて紹介します。

駆除一辺倒の対応が孕む最大の盲点は、長期的な「熊駆除の生態系への影響」と「人間社会へのしっぺ返し」が過小評価されている点です。 目の前の危険個体を排除することは人命防護上不可避ですが、山林全体の個体群構造を無視した無計画な捕殺を続ければ、生態系の捕食・競争構造に急激な歪みが生じます。 山形県や岩手県などの研究機関による定点調査では、過度な駆除によって熊の密度が著しく低下した山林において、ニホンジカの個体数がわずか数年で数倍に膨れ上がる現象が確認されています。シカは熊と異なり、林床の草木から若木の樹皮まで徹底的に食べ尽くします。結果として下草が枯死した斜面では表土が流出し、豪雨時の保水力が失われ、下流の市街地が土砂災害に見舞われるリスクが急激に高まります。 さらに、学習能力の高い熊社会において、山奥で人を避けて静かに暮らしている「森の主」のような経験豊富な個体まで無差別に捕獲してしまうと、その空いた縄張りに若い無知な個体が流入し、かえって人里への侵入頻度が増加するという皮肉な逆転現象も報告されています。 駆除そのものを否定することはできません。しかし、生態系への波及効果を計算に入れない場当たり的な殺処分は、森林の崩壊を招くだけでなく、人間が自然から受けている水源かん養や防災という多大な恩恵を自ら投げ捨てる行為にほかなりません。

池田 達也

池田 達也

マネー&キャリアエディター

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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