紙を42回折ると月に届く?驚愕の計算結果と現実の限界を科学検証

紙を42回折ると月に届く?驚愕の計算結果と現実の限界を科学検証について分かりやすく解説いたします。最新の情報をお届けします。

「紙を42回折ると月に届く」という話を聞いたとき、ほとんどの人が「そんなわけがない」「せいぜい数メートルか数十メートルだろう」と直感します。なぜ私たちの脳は、これほどまでに単純な計算の行き着く先を著しく低く見積もってしまうのでしょうか。

認知心理学や行動経済学では、この現象を「指数関数バイアス(Exponential Growth Bias)」と呼びます。

人類の祖先がサバンナで狩猟採集を行っていた数十万年の歴史において、生存に必要な予測はすべて「獲物が走る速度」「歩いた距離」「集めた木の実の個数」といった線形(足し算・一次関数)の世界でした。1日に木の実を5個拾えるなら、10日で50個拾えるという線形の直感こそが生存に適していたのです。そのため、生物学的に人間の脳は「掛け算が連続して自己増殖するシステム」を感覚的に捉えるようには設計されていません。

この指数関数バイアスは、紙折りの雑学にとどまらず、現代社会のあらゆる重大局面で人間の判断を狂わせる原因となっています。

  • 資産運用における複利の過小評価:年利数%の複利運用が20〜30年後に生み出す巨大な資産増加を若年期にイメージできず、投資行動を先送りしてしまう。
  • 感染症拡大の初動遅れ:感染者数が1人から2人、4人、8人と増えている初期段階では危機感を持てず、数千人・数万人に達した段階で初めてパニックに陥る。
  • デジタル技術の進化速度(ムーアの法則):半導体性能や人工知能(AI)の進化速度を直線的(リニア)に予想し、産業構造の急変に対応が遅れる。

「42回で月に届く」という思考実験は、私たちの直感がいかに当てにならないかを浮き彫りにし、数理的思考の重要性を教えてくれる最良の教材なのです。

加藤 愛美

加藤 愛美

エンタメ専門ジャーナリスト

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。

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