諜報員と公安の決定的な違いとは?逮捕権の有無など知られざる3つの真相
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同じ警察官でありながら、刑事警察と公安警察の捜査手法は対極に位置します。警察署の刑事課や警視庁刑事総務課・捜査一課などが担う刑事警察は、「起きてしまった犯罪」の被害届や通報を受けて現場に臨場し、証拠を集めて被疑者を特定・起訴につなげる「事後捜査」が基本業務です。
対照的に、警視庁公安部の任務は「国家の存立を脅かす事態を未然に防ぐこと」です。テロリズム、要人暗殺、極左・極右過激派による武力行使、そして外国情報機関による防衛・ハイテク産業機密の窃取を、実行される前段階で察知し、未然に無力化しなければなりません。この活動特性を警察内部では「予防捜査」と呼びます。
予防捜査の主軸となるのが、尾行や張り込みといった「視察作業」と、対象組織の内部に情報提供者を作る「協力者獲得(通称:エス獲得)」です。公安警察官は身分を偽装し、長期間にわたって対象人物の生活リズム、趣味嗜好、借金や異性関係などの弱点(脆弱性)を徹底的に調査します。食事の接待や親身な相談を通じて強固な人間関係を築き上げ、最終的に内部情報を定常的に横流しさせるスパイ(インフォーマント)へと仕立て上げます。
元警視庁公安部外事課捜査官の手記や証言によると、一度獲得した協力者との関係は数年から十数年に及ぶケースも珍しくありません。刑事事件のように「逮捕して功績を立てる」ことだけが公安の成果ではなく、あえてスパイを逮捕せず泳がせ、背後にいる本国のハンドラー(指示役)や通信手段を長期間監視し続けることこそが、組織上極めて高く評価されるという異質な力学が存在します。