漏れ電流の許容値はなぜ1Ma?法令基準と測定・対策を徹底解説
漏れ電流の許容値はなぜ1Ma?法令基準と測定・対策を徹底解説について知っておくべき 事実を分かりやすく解説いたします。
製造設備や空調システムで省エネ化が進むにつれ、「絶縁抵抗は正常なのに、クランプメーターで測ると10mA以上の漏れ電流が表示される」「漏電していないはずなのに漏電遮断器が動作する」といったトラブルが急増しています。この現象の主因となっているのが、インバータ機器による高周波漏れ電流です。
漏れ電流(Io)は、物理的に2つの成分に分解できます。
- 抵抗分漏れ電流(Ior):電線の被覆劣化や湿気・埃の付着など、真の絶縁劣化によって流れる危険な漏れ電流。発火や感電の直接的原因となる。
- 静電容量分漏れ電流(Ioc):電線と大地、または機器内部のノイズフィルタと大地との間の静電容量(浮遊容量)を介して流れる電流。絶縁自体は破壊されていない。
インバータは半導体素子(IGBTなど)を数kHz〜数十kHzの高速でスイッチング(PWM制御)してモーターの回転数を制御します。交流回路において、静電容量を通過する電流は周波数に比例して増加するため、高周波スイッチングに伴い膨大な高周波のIoc成分が大地へ流出します。
一般的な安価なリーククランプメーターは高周波成分まで合算してIo(合成漏れ電流)として指示するため、見かけ上の漏れ電流が跳ね上がって表示されてしまいます。
これに対する現場の対策は以下の通りです。
対策1:Ior測定機能・周波数フィルタ付き測定器の採用
高調波をカットするローパスフィルタ機能を備えたクランプメーターや、電源の基準電圧位相を参照して純粋な抵抗分漏れ電流(Ior)のみを分離演算するIor測定器を使用します。これにより、インバータノイズに惑わされず、真の絶縁状態(1mA以下かどうか)を正確に評価できます。
対策2:高周波対応型漏電遮断器の導入
一般的な漏電遮断器の動作電流(定格感度電流)は、住宅や一般回路で30mA(高速形・動作時間0.1秒以内)、配電盤の主幹等で100mA〜500mA(時延形)が用いられます。高周波ノイズを多く含む回路では、不要動作(誤トリップ)を防ぐため、商用周波数(50/60Hz)に感度を持ち高周波を検知しにくい「インバータ対応型漏電遮断器」の選定が推奨されます。
対策3:ハードウェア側のノイズ低減対策
インバータ出力側の配線長を短縮する、シールド付きケーブルを採用する、インバータの一次側にノイズフィルタ(零相リアクトルやラインノイズフィルタ)を挿入することで、大地へ漏洩する高周波電流そのものを抑制します。