歌舞伎屋号の序列と意味を解明!成田屋筆頭の理由と格付けの真相
歌舞伎屋号の序列と意味を解明!成田屋筆頭の理由と格付けの真相の特集記事をお届けします。最新トレンドがチェックできます。
歌舞伎の歴史を語る上で欠かせないのが、「団菊(だんきく)」と称される成田屋と音羽屋の対比です。明治時代、九代目市川團十郎と五代目尾上菊五郎の二大名優が競い合い、近代歌舞伎の黄金期を築き上げました。この二つの家柄の違いを知ることは、歌舞伎の美意識の深層を理解するための最短ルートです。
成田屋が得意とするのは、前述の通り神話的・絵画的なスケール感を持つ「荒事」です。日常的な写実性を削ぎ落とし、様式美と豪壮な身体表現によって観客を圧倒します。対する音羽屋のお家芸は、江戸の町人の生活や人情、裏長屋の哀愁をリアルかつ洒脱に描く「世話物(せわもの)」です。
関係者の証言によると、音羽屋の芸は「爪の先、下駄の引きずり方に至るまで、江戸の風俗をそのまま再現する極限の写実」にあります。七代目尾上菊五郎をはじめとする音羽屋の役者たちは、悪党であってもどこか憎めない愛嬌や、江戸の粋(いき)と鯔背(いなせ)を体現してきました。様式美の極北にある成田屋と、写実と風情の極北にある音羽屋。この二大潮流が互いに補水し合い、激しく競い合ってきた歴史こそが、歌舞伎が数百年経っても色褪せない原動力となっています。