世界一大きい湖はどこ?カスピ海が海ではない理由と琵琶湖との圧倒的差
世界一大きい湖はどこ?カスピ海が海ではない理由と琵琶湖との圧倒的差について重要なポイントを解説いたします。詳細な分析をお届けします。
カスピ海が「海」ではなく「湖」とされる最大の根拠は、陸地に完全に囲まれており、外海(大洋)と自然の海峡を通じて直接繋がっていない内陸の閉鎖性水域であることに尽きます。現代の地理学および国際海洋法において、海洋とは太平洋や大西洋、地中海のように、世界の公海と自由に海水が行き来できる開かれた水域を指します。カスピ海はヴォルガ・ドン運河などの人工水路を介して黒海やバルト海と通じてはいるものの、天然の接続路を持たないため、明確に湖として分類されます。
ではなぜ、古来より「海」と呼ばれ続けてきたのでしょうか。第一の理由は、視界の限界を遥かに超える水平線が広がる圧倒的な広大さにあります。古代ローマ人や沿岸の遊牧民にとって、対岸がまったく見えないこの巨大水域を海以外の言葉で表現することは不可能でした。第二の理由は、水に塩分が含まれている点です。大昔、カスピ海は黒海や地中海とともに「パラテチス海」と呼ばれる広大な先史時代の海の一部でした。地殻変動によって大陸の中に閉じ込められた名残として、現在も平均約1.2%の塩分濃度を有しています。一般的な外海の塩分濃度(約3.5%)の約3分の1程度ですが、淡水ではなく「塩湖」である事実が、人々に海としての印象を強く植え付けました。
この「海か湖か」という論争は、単なる名称の呼び分けにとどまらず、巨額の海底油田や天然ガス、名産品であるキャビア(チョウザメ)の利権を巡る激しい外交摩擦を生み出しました。もし国際法上の「海」と見なされれば国連海洋法条約(UNCLOS)が適用され領海や排他的経済水域(EEZ)が設定されますが、「湖」となれば沿岸国全員の合意による共同管理が原則となるためです。2018年に沿岸5カ国(ロシア、アゼルバイジャン、イラン、トルクメニスタン、カザフスタン)が署名した「カスピ海の法的地位に関する協定」において、カスピ海は「海でも湖でもない特別な法的地位を持つ水域」と定義され、長年の国際法論争に一応の政治的決着が下されました。