『太陽を盗んだ男』衝撃の結末と裏話!昭和の怪作が放つ圧倒的熱量
『太陽を盗んだ男』衝撃の結末と裏話!昭和の怪作が放つ圧倒的熱量に関する深掘り解説を丁寧に解説いたします。
物語の主人公、城戸誠(沢田研二)は平凡な中学校の理科教師です。しかし彼の裏の顔は、茨城県東海村の原子力発電所からプルトニウムを強奪し、東京の安アパートの一室で粗末な実験器具を駆使して「原爆自作」を完遂させた狂気の男でした。防護服もなしに放射性物質を扱い、金属製の鍋でプルトニウムを精製するプロセスは、科学的ディテールとチープな日常風景が異様なリアリズムを生み出しています。
原爆という究極の暴力を手に入れた城戸は、自らを「9番(ナイン)」と名乗り、警視庁の山下警部(菅原文太)を交渉窓口に指名して日本政府への脅迫を開始します。しかし、彼が突きつける要求には国家転覆や金銭欲といった明確な大義名分が一切存在しません。「プロ野球のナイター中継を試合終了までノーカットで放送させろ」「入国拒否されていたロックバンド、ローリング・ストーンズの日本公演を実現させろ」など、要求は徹底して個人的で、どこか悪ふざけの延長のようなものでした。
やがて城戸は5億円の身代金を要求し、山下警部との熾烈な知恵比べと追走劇を展開します。物語のクライマックス、日本武道館の屋上において、城戸と山下警部はついに直接対決の時を迎えます。激しい肉弾戦の末、山下警部は屋上から転落死し、城戸自身も致命傷を負います。
そして迎える伝説のラストシーン。製造時の被曝によって髪が抜け落ち、皮膚がただれ、もはや死相を漂わせた城戸は、時限爆弾を仕込んだ重いバッグを手に、渋谷のスクランブル交差点を彷徨います。彼の頭上では、原爆の起爆カウントダウンを刻む無機質なタイマーの作動音が響き渡り、人混みの中で笑みを浮かべる城戸のストップモーションとともに映画は幕を閉じます。爆発の瞬間そのものは直接描かれていませんが、針の進む音と彼が街へ放たれたという事実こそが、観客の脳裏に消えない閃光を焼き付ける構造となっています。