ポニョ死後の世界説の真相|水没した街と老人の謎を宮崎駿の言葉から解く
ポニョ死後の世界説の真相|水没した街と老人の謎を宮崎駿の言葉から解くを詳しくリサーチ! 読者が気になる トピックの裏側を凝縮して配信します。
では、生みの親である宮崎駿監督はこの世界をどう捉えていたのか。NHKの長期密着ドキュメンタリー『ポニョはこうして生まれた』や、当時の劇場パンフレット、関係者の証言録を丹念に紐解くと、ポニョ死後の世界公式見解とも呼ぶべき明確な思想が浮かび上がってきます。
宮崎監督は制作当時のインタビューにおいて、次のような趣旨の言葉を残しています。
「幼い子どもにとって、生きていることと死んでいることは、大人が考えるほど厳密に分かれていない。海の下に沈んだ街は、死後の世界というよりは、生と死が一緒くたになった場所なんです。死ぬことは恐ろしいことじゃない。そこには平和で静かな世界が広がっているかもしれない」
この宮崎駿監督の公式見解が示す通り、監督の脳裏にあったのは「登場人物を事故死させる」というプロット上の仕掛けではありません。そうではなく、「海が陸を呑み込み、文明が一度リセットされたとき、人間も自然も古代の魚も等しく並列に共存する原始的な生命圏」を構築することでした。
車椅子のおばあちゃん達が水中で立ち上がって走るのも、「幽霊になったから」という即物的な解釈ではなく、大いなる母性(グランマンマーレの海)の胎内に還ったことで、肉体の制約や加齢という現世の枷から一時的に解放された状態を描いたものです。死を「生命の絶対的な終焉」と捉える西洋的な二元論ではなく、生と死が渾然一体となって巡るアニミズム的な死生観こそが、映像の根底に流れています。