女性のAedで下着は脱がすべき?救命現場の躊躇を解く法律と最新知識
女性のAedで下着は脱がすべき?救命現場の躊躇を解く法律と最新知識の具体的な内容に迫る! わかりやすい言葉で紐解きます。
インターネット上の言説で最も悪影響を及ぼしているのが、「女性にAEDを使って服を脱がせたらセクハラで訴えられた」という噂の真相です。警察庁および法務省の関係資料、過去の判例データベースを網羅的に検証しても、救命現場で心肺蘇生やAED使用を行った救助者が、強制わいせつ罪や迷惑防止条例違反で書類送検されたり、民事裁判で損害賠償を命じられたりした事例は1件たりとも存在しません。
法律上、救命行為は盤石な免責条項によって守られています。その中核が刑法第37条の「緊急避難」です。
刑法37条は、「自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない」と規定しています。心停止という「生命の喪失」という極限の危難を回避するために、衣服を裁断したり下着をずらしたりして胸部を露出させる行為は、保護される法益(生命)が衣服の破損や一時的な羞恥心といった不利益を遥かに上回るため、違法性が完全に阻却されます。
民事上の不法行為責任(民法709条)に関しても同様であり、善意で救護にあたった一般市民が過失責任を問われることは法的にあり得ません。欧米では「善きサマリア人の法」として明文化されている救護者免責規定ですが、日本には単一の同名法律こそないものの、刑法37条の緊急避難および民法上の緊急事務管理の法理によって、事実上同等以上の免責が担保されています。「訴訟リスクがあるから助けない」という判断は、実体のない幽霊を恐れて命を見殺しにする行為と言えます。