ヘンリーの法則の罠!「体積一定」の真相と共通テスト計算を完全攻略
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受験生が計算過程で混乱するもう一つの要因は、気体単体の振る舞いを記述する「ボイルの法則」と、相平衡を扱う「ヘンリーの法則」の適用領域を混同してしまう点にあります。
ボイルの法則は、あくまで「密閉空間に閉じ込められた気体そのものの圧力と体積の反比例関係($PV = \text{一定}$)」を示す法則です。気体の種類を問わず、理想気体に近い状態であれば普遍的に成り立ちます。
対するヘンリーの法則は、「気体と液体が接触している平衡状態において、どれだけの気体分子が液相の分子間に割り込んで留まることができるか」という気液平衡の溶解現象を記述した法則です。1803年に英国の化学者ウィリアム・ヘンリーによって提唱されました。ヘンリーの法則の公式は、扱う物理量に応じて以下の3パターンで表現されます。
1. 物質量基準の公式:
溶ける気体の物質量 $n\ [\text{mol}] = k_1 \cdot P$ ($P$ は気体の分圧、$k_1$ は比例定数)
2. 質量基準の公式:
溶ける気体の質量 $w\ [\text{g}] = k_2 \cdot P$
3. 標準状態換算の体積基準の公式:
標準状態における溶解体積 $V_0\ [\text{L}] = k_3 \cdot P$
重要なのは、ヘンリーの法則が保証するのはあくまで「$n$, $w$, $V_0$ が圧力 $P$ に比例する」という一点のみである点です。これに対して「その圧力下での体積 $V$ が一定になる」という事象は、ヘンリーの法則単体の帰結ではなく、ヘンリーの法則(分子の増加)とボイルの法則(分母の増加)が連動した結果生じる複合現象なのです。この2つの法則の境界線を明確に切り分けて認識することが、物理化学の解像度を飛躍的に高めます。