南京事件の証拠を徹底検証|一次資料と写真から読み解く歴史の真実
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政治的なスローガンではなく、両国の政府や公式な学術機関がどのような見解を共有しているのかを確認することは、この問題を理解する上で最も安全なコンパスとなります。日本の公式スタンスである外務省の南京事件に関する日本政府見解は、公式ウェブサイト等で極めて慎重かつ明瞭に定義されています。
日本政府は「日本軍の南京入城後、非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できない」と明記しています。その上で、「被害者の具体的な人数については諸説あり、政府としてどれが正しい数値であるか認定することは困難である」という立場を堅持しています。つまり、日本政府は事件そのものを決して否定しておらず、不法行為の存在を認めた上で、政治利用された30万人という過大数値に対して慎重な姿勢を崩していないのが実情です。
さらに、2006年から2010年にかけて両国の歴史学者を集めて行われた日中共同歴史研究の南京事件に関する報告書は、両国の認識の到達点を端的に示しています。同研究では、日本軍による不法行為の存在や市民の犠牲があったという大枠の事実関係において合意に至りました。しかし、最終的な犠牲者数については、日本側が「上限を20万人、実質的には数万人から数千人」と見積もったのに対し、中国側は「30万人以上」の主張を譲らず、両論を併記する形で結ばれました。国家レベルの共同検証を経てもなお、数値をめぐる政治的決着はついていないのが冷厳な現実です。