なぜ自分勝手を「虫」と呼ぶ?虫のいいの意味と道教由来の真相
なぜ自分勝手を「虫」と呼ぶ?虫のいいの意味と道教由来の真相の真相や最新動向に迫る! わかりやすい言葉でまとめました。
なぜ身勝手な態度を「虫」と結びつけるのか、その背景には古代中国の道教思想と、日本の中世・近世における身体観が深く関わっています。
道教には、人間の体内には生まれつき「三尸(さんし)の虫」と呼ばれる3匹の虫(上尸・中尸・下尸)が棲みついているという教えがあります。この虫は人が眠っている間に体内を抜け出し、天帝(天の最高神)にその人の犯した罪や悪事を告げ口しに行くと信じられていました。告げ口された罪の重さに応じて人間の寿命が削られるとされたため、人々は60日に一度巡ってくる「庚申(こうしん)の日」に徹夜をして虫が体内から出るのを防ぐ「庚申待(こうしんまち)」という信仰行事を行っていました。
この道教思想が日本に伝来すると、日本古来の民間伝承と融合し、「人の感情や欲望、体調の変化は体内に棲む虫の働きによるものだ」という独特の観念(体内虫信仰)が定着しました。代表的なものが腹の虫慣用句です。怒りが収まらない状態を「腹の虫がおさまらない」、機嫌が悪いことを「虫の居所が悪い」と呼ぶのはこの名残です。
この文脈において、「虫のいい」の「虫」とは「本人の心の中に潜む欲望や我欲の象徴」を指します。つまり、「虫のいい」とは本来、「自分の心の中にいる虫(欲望)にとって都合が良い」という意味であり、転じて「自分の我欲を満たすことばかりを優先して図々しい」という現在の意味へと発展したのです。