わずか数滴で死に至る猛毒…フッ酸事故事例の真相と生死を分ける応急処置
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フッ酸のリスクは、医療や研究現場にとどまりません。一度の漏洩で地域社会を壊滅的なパニックに陥れた代表例が、2012年9月27日に発生したフッ酸事故韓国亀尾(クミ)の化学工場大惨事です。
韓国有数の内陸工業地帯である慶尚北道亀尾市のヒューブグローバル社工場において、タンクローリーから貯蔵タンクへフッ化水素酸を移送する作業中、作業員が安全規則を無視してホースを接続したままバルブを操作。配管から高圧のフッ化水素ガスが噴出し、約8トンの猛毒ガスが市街地へ拡散しました。
この事故による被害は凄惨を極めました。バルブ直下にいた作業員ら5名が即死。漏洩した毒ガス雲は風下数キロメートルに及び、住民や警察官、消火活動にあたった救急隊員など1万2,000人以上が喉の痛みや呼吸困難、皮膚疾患を訴えて医療機関を受診しました。さらに、近隣の農耕地212ヘクタールが枯死し、家畜約4,000頭が鼻血を出して倒れるなど、生態系と地域経済に壊滅的な打撃を与えたのです。
近年、先端微細加工技術の要としてフッ酸の需要は拡大し続けています。ウエハーの酸化膜エッチング工程や洗浄ラインを抱える半導体工場フッ酸事故のリスクは、現代の産業界が抱える最大の保安管理課題の一つです。配管フランジの劣化、バルブ開閉のヒューマンエラー、地震による配管断裂など、いかに高度な自動化が進もうとも、危険物を物理的に移送するインターフェースには常に流出の危機が介在しています。