野面とは?読み分けの真相から野面積みと切込接ぎの違いまで徹底解説
野面とは?読み分けの真相から野面積みと切込接ぎの違いまで徹底解説についての真相を徹底解説します。
「野面」という漢字を見て、まず疑問を抱くのがその読み方と意味の広がりです。結論から言うと、この語には主に「のづら」と「のもて」という2通りの読みが存在し、使われる分野によって指し示す内容が明確に分かれています。
辞書編纂の標準とされる『デジタル大辞泉』などの記録によると、野面には大きく分けて次の3つの定義が与えられています。
第一に、文学や詩歌で用いられる「野原の表面・野のおもて」という意味です。この場合は「野面(のもて)を渡る秋風」「広々とした野面(のづら)」のように、自然の原野そのものを叙情的に表現します。古語の流れを汲む表現であり、和歌や近世文学の情景描写で重宝されてきました。
第二に、歴史・土木建築・造園の世界で使われる「山から切り出したままで加工していない石の表面、またはその石そのもの」を指す専門用語です。この文脈では例外なく「のづら」と発音され、「野面石(のづらいし)」や「野面積み(のづらづみ)」という複合語として定着しています。もともと「野」には「自然のまま」「人為が加わっていない野外」の含意があり、「面」は物体のおもて面を表すため、「作為のない自然石の肌」をダイレクトに表現した言葉です。
第三に、日常の慣用句として使われる「厚かましい顔・恥知らずな態度(鉄面皮)」という意味です。これも読みは「のづら」であり、「よくもまあ、そんな野面を下げて来られたものだ」といった辛辣な物言いで登場します。自然の荒々しい石面のように、恥や外聞に動じない頑丈で無神経な面構えを皮肉った俗語的表現として、江戸時代の町人文化の中で派生したと考えられています。
類語と言い換えの観点では、石工の文脈であれば「自然石」「玉石」「原石」、情景描写であれば「野原」「原野」、人物描写であれば「厚顔無恥」「鉄面皮」「面の皮が厚い」などが対応します。文脈によって風雅にも、工芸的にも、毒舌にも転じる点が、この言葉の持つ奥深さと言えます。